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小池劇場演出部【こいけげきじょうえんしゅつぶ】

★「非安倍/自民」の風に乗った錯覚商法


 小池都知事が早期に放った鬼手の一つに、「シンボルカラー・緑」というのがあります。緑というのは、緑の党が小勢力でまだ諸派扱いの日本を除けば、先進国では社会・共産主義のシンボルカラー・赤と並んで、左派の二大シンボルカラーとして公知の存在です。それを臆面もなくいただいてしまうところが小池流です。


 都知事選、都議選では、豊洲の安全問題など、緑っぽいネタの争点化と組み合わせることで、「環境リベラル」のイメージを演出し、リテラシーの低いB層左派をがっちり取り込みました。衆院選では立憲民主に吸われる形で議席を減らした共産党が、都議選では躍進していたことを見ると、民進に見切りをつけたリベラル票は、リテラシーの高低によって、都民ファースト、共産に一時的に雨宿りをしていたようです。


 元々、リテラシーの高いリベラルは、核武装発言や日本会議との深すぎる関係など、小池都知事の右派遍歴を知っていますから、希望の支持層としては期待できません。唯一、与野党一騎打ちになった時に、鼻をつまんで希望に入れるかも、程度です。だから、リベラルにおもねる必要はありません。それでも都議選の再現のためには、保守不満層だけでなくB層左派も支持層に取り込んでおく必要があります。


 この点でも、メディアは好意的でした。上の話に加え、緑ネタとして脱原発を掲げつつ再稼働容認とか、環境派の代表格、嘉田元滋賀県知事の公認申請お断りなど、実態レベルの非緑っぷりはつつけばいくらも出てくるのですが、そこらへんはほとんどスルーでした。これには大手メディアの複雑な感情というのも働いています。


 それは、一言で言えば「非安倍保守」です。かつて中選挙区制の時代、万年与党の自民党議員の間でも「記者だけは敵に回すな」が鉄則だったように、メディア関係者は自民党に対してすら、精神的優位を自覚していました。ところが、そのメディアも参加しての小選挙区キャンペーンの結果、公認を握る党本部優位の体制ができあがってしまうと、様々なところで力関係が逆転していくようになりました。そして、第二次安倍政権になると、メディアに対する露骨なマウンティングが始まり、「高市・放送免許発言」などが展開されました。こうした状況下、保守系メディアの間にも、「自民でいいんだが安倍は困る」という御都合主義的マインドが広がっていきました。


 小池が掴んだのはこの風でした。都議選は短期決戦ですし、そこにメディアの積極・消極の支援があれば、一回は錯覚商法が通じます。実際、自身も当事者であった保守系新党ブームの繰り返しで、それは何度も見たものでした。ところが、自分でその催眠術を解いてしまいました、やはりあの「排除」発言で。B層左派は、リテラシーは低いですが、自己認識はリベラル、もしくは非保守、非自民です。錯覚商法のキモは、本質をわかりにくくし、わかりやすい誤解に誘導するところにあります。B層左派に届いたのは、「希望の党には保守の人しか入れないでください」というわかりやすすぎるメッセージでした。



文・土屋彰久(政治学)   2017.10.26