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民進党【みんしんとう】

★じつは保守デバイスだった民主・民進党


 小池百合子は、自民党、都民ファーストと、これまでの重ねてきた選挙で、実は常に民主・民進の敵側で、その弱さに乗じてきた側でした。その意味で、民進の一面しか見えていなかったと言えます。自民党時代には保守コア層、そして都知事選以降は保守不満層を固めることで、民進相手に連戦連勝を重ねた小池にしてみれば、民進の弱さは「保守野党のくせに保守不満層を固めきれない」ところにあり、その元凶は党内左派ということになります。


 保守の側から見ると、民進党は保守系議員がかなりの割合を占め、リベラル系はお荷物のように見えます。そして、このお荷物リベラルのせいで政策が左に引っ張られるから、保守不満層が離反すると。しかし、保守不満層が離反するのは、先に示したように、保守の政策では不利益の方が勝るためで、イデオロギー的な反発からではありません。イデオロギーで動くなら、自民・共産の二択が基本で、残りはカルトかアパシーかというサブ・イデオロギーに落ち着きます。


 民進党は、議員の割合では保守系が優勢です。これは、党としての歴史的な歩みや組織力学の結果として、こうなっています。党史の話は先に触れましたので、組織力学の話を少しすると、たとえば有力支持団体であった連合は、労組勢力の結集という大義の下、右派の同盟と左派の総評が一緒になりました。当初は、政党レベルで総評系の社会党が同盟系の民社党よりはるかに大きかったために、連合は社会党の支持基盤として機能しましたが、労組レベルでは同盟系が多数派だったために、政界再編を経て社会党右派と民社党が合流した民主党を保守化した連合が支持するというかたちに落ち着きました。


 こうした、個々の組織の主導権争いの積み重ねで、民主党も多数派の保守系の主導で保守化していったわけですが、支持層の割合で見ると保守とリベラルは拮抗しています。それは、民進票を左右で分け合った立憲民主と希望の得票を見れば丸わかりです。


 では、民進党というのは、何だったのか?それは、民進党が何よりこだわった小選挙区制が、組織の意思を力尽くで一本化する作用を持つのと根本的には同じ構造で、組織内少数派として各階層でリベラルを封じ込める、端的に言えば行き場のないリベラル票を保守系議員の議席に変換する「保守デバイス」でした。


 民進がこの役割を果たしてくれたからこそ、何度選挙をやろうと自民は安泰だったわけで、そのぬるま湯にどっぷり浸かっていた小池には、保守系多数というその表層しか見えていませんでした。その民進を真っ二つにしたことで、小池は「わかりやすくなった」と自画自賛しましたが、それは全くその通り、日本の政治に必要なことをやってくれました。ただ、その恩恵は立憲民主に、損害は希望に発生したというのが皮肉な結果ですが。


 これで、とりあえず、リベラルの票をリベラルの議席にそのままつなげる立憲民主ができたわけですが、それで一安心とは行きません。現在、最も懸念されるのは、人気者の蓮舫がまず合流し、その後に野田がという、二段ミサイルならぬ二段木豚で、これが実現すると立憲民主党は民進党の二の舞となります。かつて、岡田が育ての親、小沢を捨てたように、蓮舫が野田を捨てられるなら、また別の展開があるかもしれませんが。



文・土屋彰久(政治学)   2017.10.25